供養

小さな駅の物語

北の大地の小さな駅は昇降客もめっきり減って無人駅となった何代も続く蜘蛛の孤独者は縁もゆかりも無い飛んでくる者を押さえて生き血を吸っている朝食のある時もあれば夕食の無い時もある親はほとんど知らないチラッと見たような気もするあれから夏冬同じ景色...
供養

秩序

神に祈るしかなかった世の中に身を置いた人生は余りにやり場のなくそうして去っていった人々に冷たい雨が降っていたこれでもかの仕打ちにそれらを平然と回る地球に秩序の本質を見た回って回って降り飛ばせ人も悲しみも
思い出

1945年、夏、日本

人が突然いなくなるのだ手を繋いでいたのに喚きの中で 逃げ惑う中でそして日が変わり捜しまわるのだあの一緒に必死だった縁者を幾日も幾日も訪ね歩いてそして記憶の中のあの瞬間の土地で手骨を拾うのだ記憶が結びつける足骨を拾うのだ
思い出

羨望

秋も深まり天気の良いのが長く続かないある日ほっかむり 作業着姿の老人がリヤカーを俯きながら引いていたそれに付き添うようにあまり綺麗でない中型雑酒犬が鎖に繋がれ歯をむき出して引くのに絡んでいるそこに私は捨ててきた羨望する信頼関係を見つめていた
供養

レクイエム

川べりの夜の街頭に一匹の蛾が所在なく一晩中飛ぶように生命は全て魂となって自由に駆け巡る善悪も無く魂は自由だもう何も後ろは無く前だけを見つめるだから何処までも飛んで行ける
思い出

悲しい

青空の端の方で鳥は初めて飛んだ時あんなに高くを飛ぶと思っただろうか私も生まれて子供をやっている時こんな人間になると思っていただろうか未来は不明不明は悲しい
夕照り

権力の循環

人民は何かを狙って権力にペコペコ権力はその上の権力にペコペコまたまた上の権力にペコペコ最上の権力は人民にペコペコ人民は威を借る権力にペコペコ
供養

正義

私の国があなたの国を憎んであなたの国が私の国を憎んでお互い闘う 殺し合うどちらかが正しい時もありどちらかが間違っている時もある唯の殺戮だけの時もあり親しい時間も 親しい間柄も束の間どうしようもないのに神の名を叫んで何処かにいるはずの神の名を...
思い出

赤トンボ

赤トンボが人の高さの空を歩いていくさらに高くをツバメが横切るとても彼等のように豊かな一生にはなれないせめて花による同じ境遇の虫を狙う暖かい日もある辛く羽根に雨が当たる日もある彼等に神様はいないたまに優しい風のベッドがあるだけだ
供養

月山

ある年の 11月22日雪を被る真っ白に輝いて死界となる朝陽を受け 尚 弓なりとなり連なる山は前に控えてのっぺりと間に居座る真上に白雲 傘となり魂人の安養浄土となる吹雪乱舞の中に空気は静かに流れ気の果ては賑やかなり