朝まだき

裸の山裸の山は優しく楽しいいがぐり頭のようにカッコいいのやら 悪いのやらボコボコ ガタガタ連なってウサギがぴょこんと眺めているよカラスが月見て吠えていた
夕照り

入口いつか人間は煙となり石灰となり元素となって精神の上の汚れを落とし苦しめた心は滴り落ちて風に吹かれ軽快に永遠と交わっていく気ままな気体は分け隔てなく固体の時と交わり宇宙は見分けがつかなくなった
朝まだき

精神性人の心が波立つ唯の波動であるそこに泡が立つように青とも白とも価値があるとも無いとも分からぬ滲み出たその英知はそれは何千万年かけて届いた灯りのように顕れてきたもの歴史の上に立つ一体の精神なのだ
供養

交響楽協働の素晴らしさ乱立のこの世の中でその交響の尽きない流れの中での意志の絡まる僅かな時間目覚めてくる時間いつかは果てて 乱れ行く前兆真ん中に中心が必要でほんの一時の積み木いつも来る 夜の未完の前のあの静寂人として望んで得られない   も...
朝まだき

輪島塗木地師 下地師 上塗り師 研ぎ師 呂色師 蒔絵師己を鉄芯となして大きな破調の中で作品を完成していく工芸の人の世の輝き存在の充溢何千万年の人類の精神の時が姿を顕している
夕照り

魚屋の水槽水槽の中のヒラメ一匹もう筋肉も萎えて涙腺も枯れた目は私を何時までもじっと観ている
夕照り

寒風の蟹茹でられて食われた毛蟹の甲羅は手足の無い体になって意志強く目を剥き出し観ている歯を食いしばった顔とはいへ寒風は甲羅を変色させていった
夕照り

最後人は営々と歴史を作り 文化を作り子々孫々伝わることを望む宇宙は逆らう如く闇夜は頑として乗り越えていく但し失望の一瞬死の一瞬それが唯一の教えでもあり全てを同一にしていく
朝まだき

進化筋肉が生き物の進化を決めた人となっても口をへの字結べばいつか人は飛べない鳥になる
思い出

最期人間に生まれてから少しづつ悲しいことやら 楽しいことが溜まっていきますそして 楽しいことは少しづつ残り悲しいことは沢山残ります積み重さなり 溜まっていって一杯になった時人はことっと死んでいくのだと思われます