思い出

思い出

熊と私

ツキノワグマは住宅街の中を嗅ぎまわる川を渡って果樹園に通う私は朝方の青い空の中でちぎれ雲を追って泳いでいく故郷の村は霧から目覚めては初夏の太陽を田植えの隣人と過ごす降ってくるような懐かしさが体を満たした
思い出

昔の空

空はいつも同じ空ではない幼い頃澄んでいた空今は懐かしく思い出を語るもう戻れないところではあるがいつも希望で振り返る
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虫と私

幸せは空の上に有れば良いのに昇ったって掴めるものじゃなしままに山の森の奥の暗がりに又 朽ちそうな建物の裏にあったりする時もあるそこは虫たちの天国だそれなら皆 虫になれば良いってことか馬鹿な 虫は一日一日で生きていく
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シオカラトンボ

シオカラトンボは最近見かけない何処に行ってしまったのか歴史を終えてしまったのかい人間の頭を好んで休んでいた幼い手に腹へ棒を刺されたりいやなこともいっぱいあって良い土地を捜していたのかもしれないもう戻ってはくれないのかい山の清流に足を浸してい...
思い出

通り過ぎれば

私の人生はほんの小さな出来事で終わりです起こったことも唯の風行ってしまったでは淋しいとしても少し離れたところに立つ人にはやっぱり唯の風少々弱いのやら強いのやら通り過ぎれば後ろに去ってせめて見てるは その人だけで誰も最後までは見ていない見えて...
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秋とトンボ

窓の網戸にトンボが曇天に最期の時間を休んでいるいっぱい食った美味いものもいたし まずいのもいたアッという間だったなぁ一度きりの秋なんて親は何をしていたんだっけ爺さんの話は聞いたこともない風に乗って旅に出たいとも思ったが勇気が無かったのだそれ...
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ちぎれ雲

色を失った世界の音だけが残った空間にいる宇宙の果てを感じる脳は一人だった誰もいない 誰も待っていないいつか来る世界だとは分かっていたのにいつも川の中の生活をして昇る太陽ばかり見ている夢ばかり見ているのではないと夢を知った人が言う空に浮かんだ...
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讒言

讒言する人があり讒言される人がいて讒言される人が 又 ほかの人を讒言する讒言する人も 又讒言されてこうして讒言だけが残っていきだんだん世の中が暗くなっていく朝焼け 夕焼けに昼もそうなったら 夜もそうだったら誰も残れる人はいない餓鬼だけがいる...
思い出

幼い頃の夢

我々は何故権力に擦り寄るのか私は貧しい時代の子供たち擦り寄る者達の喧しさ権力の高笑いそこには何も生まれないいたる所に渦を巻いて寡黙な者たちの上で 空で雄大積雲となって下ってくる静かな人達の群れは見晴らしの良い低山を目指す幼い頃の清流の夢を思...
思い出

旅立ち

故郷は離れていく肉親を残し 田圃を置いて明日のために 生地を旅立つ有ったものは少しずつ消えていき消えていくものに従って故郷は失っていくあなたの祖先もそうやって私が今ここにいるさようなら思い出さようなら 懐かしい人達