供養

 

 

供養

レクイエム

川べりの夜の街頭に一匹の蛾が所在なく一晩中飛ぶように生命は全て魂となって自由に駆け巡る善悪も無く魂は自由だもう何も後ろは無く前だけを見つめるだから何処までも飛んで行ける
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正義

私の国があなたの国を憎んであなたの国が私の国を憎んでお互い闘う 殺し合うどちらかが正しい時もありどちらかが間違っている時もある唯の殺戮だけの時もあり親しい時間も 親しい間柄も束の間どうしようもないのに神の名を叫んで何処かにいるはずの神の名を...
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月山

ある年の 11月22日雪を被る真っ白に輝いて死界となる朝陽を受け 尚 弓なりとなり連なる山は前に控えてのっぺりと間に居座る真上に白雲 傘となり魂人の安養浄土となる吹雪乱舞の中に空気は静かに流れ気の果ては賑やかなり
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歴史

歴史は激動で始まり静寂を目指していく喜びも悲しみも時間の中に吸収されていく多くの人の嘆きも哄笑も一行も残らないそうして消えていった忘れられていく人々を私達の精神の冷たさが送る
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自死

一つの魂が去った過去40年居るべき所に居た君がいくら待っても帰ってくることは無くなったもがきにもがいた人生は唯 一瞬の流れゆく枯れ木だった今となっては私の肩に重荷となって残っている
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戦時開拓民

国は民をだまし人間社会は同胞を苦しみの中に見捨て見捨てて人生を終わらせた行き詰った末のやっとの果てのか細い腕でさえ置き去りにした人達には同じ運命にはまるまで相手を知ることはない非情のトルネード
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行きついた民

放牧の民の歌声はうねった草原を超え険しい谷を抜けていく一張だけの家は風に吹かれてざわめいている夫婦は高原の急斜面に晴れの日の風に雨の日の雷鳴に父母の戒めを守る
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故郷

自宅の側に幅5間の清流が流れ寒い日の明け方下流にリンゴと鶏を食いにツキノワグマが渡っていく野性にとってそれが日常であった親から教えられた励ましであった
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暗いマントを着た聖人仕事が終われば定めの土地に留まるだけ懐かしい者達への思いにふけるか懐かしい故郷を思い巡らすか運命の重みにめげず静かに佇む 永遠の中の奇跡じっーと私を見つめている
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野に放たれた牛へ

君に優しくなでる手を信じてはいけない君に道を開く者の企みを離れろ君は自分に作る道しか救いは無い私も鬼 周囲の鬼君には可愛らしい角二本だけ与えられたそこを逃れるには楽園らしきを捨てるのだそこから始まる先に夢があるとは分からないでも そこから始...