思い出 最期人間に生まれてから少しづつ悲しいことやら 楽しいことが溜まっていきますそして 楽しいことは少しづつ残り悲しいことは沢山残ります積み重さなり 溜まっていって一杯になった時人はことっと死んでいくのだと思われます 2025.02.05 思い出
思い出 川辺の思い出草原の鴨は 親子で喧しい鱒が静かに藻の間を横切るカエルも私と同様物思いに耽っている眼も何故か瞬く時川の涼風はふと過去との時の接点だ泳ぎに夢中になり夕暮れの薄明の中を家へ急いだこと魚釣り針の指に刺して顔の歪んだこと川はいつも あれ... 2025.01.31 思い出
思い出 月日この家は昔理容屋だったのが分かります黄ばんだカーテンと少し残る木のガラス窓の白いペンキ昔の賑わいも想像出来ます一時代を終え息子も他所の地に足場を築いたのでしょうか周囲の真新しい家に挟まれてもう栄えることのない家には大事に育てられていた雑... 2025.01.30 思い出
思い出 細木道小さい頃 はるかな山並みが懐かしかったそれ以来何かをずうっと捜していたような気がするいつか どこかでもう残っている時間も少ない速やかに旅立たなければならないのに古き本の中に捜した時もあったが山を越え 海を越えはるかに行かなければ無いの... 2025.01.12 思い出
思い出 里芋昔 里芋は生命の糧だった 今も私を力づけるこの畑に荒んだ雨を ことさら丸くして遊ばせている同じ土地に 同じ養分で数千年前も澄んだ心で実っていたであろうそれを見る私と筋肉質の体躯 脂ぎった頭髪少しばかりの装飾品で身を飾った祖先の視線が同じ... 2025.01.08 思い出
思い出 巡り合い無窮の時の中で同じ時間に乗った仲間が己が方角を定め 駆けてゆき別々の営み 戦いの中で40数年が経った傷ついた者 行きあぐねた者尚 風雨に胸を張り耐えている者果て知れぬ 巡り尽くせぬ宇宙の地球でふと巡り合った北国の中でしみじみと生い立... 2024.12.31 思い出
思い出 タンポポ曇天の青空のわずかな日にタンポポは歩き出そうとしていたかつて 向こうの村から大分前の先祖が歩いてきたのを親から聞いていたのだ優しい川が流れニワトリものんびりしていたのをタンポポは立ち上がろうとしている萎えた足を真っ直ぐ伸ばして明日は... 2024.12.21 思い出
思い出 思考の退化電車はなだらかな川の流れの谷を行楽帰りの親子を乗せて晴天に膨れ上がっていた下半身の汚れた豚は遠くに走り去る者たちを眺めながら考えていた私もあのように遊んだ日から何千年経ったかをまだ 二足歩行で 棒も握れたのにこの道を与えられて日々... 2024.12.16 思い出
思い出 忘れ物(始発駅にて)私は今帰郷するそばで親子の別離を眺める君達の父は母は 田舎の無骨な人のようだ当てずっぼうな会話も交わされ方言交じりで語られている偉ぶることのない表情の彼等から競い合う原理の道を選んだ子等にまずは頑張れ 困ったことがあった... 2024.12.06 思い出
思い出 地球彼等 花やかな者達は蝶々に生まれてきた君たち 恐ろし気な者は トンボに生まれてきた 慎ましやか者たちは ミミズに騒がしい君はウンカだ僕は蛾だった彼等は善人だ僕は悪人だ唯 皆んな生きてきた食ったり 食われたり皆んな死んでいくんだよそして ... 2024.12.02 思い出