思い出

耳今は昔 今は昔人は昔しか聞こえない人は未来は見ようとするだから耳は大事大事なことを知っている失聴は古と離れること失明は先を手放すこと間は考えを失うこと
思い出

君と私君が泣いた時 私は笑っていた私が泣いた時 君は笑っていたある時君が泣いた時 私も泣いていた私が笑っていた時 君は笑っていたそれから 私は君を忘れ君は私を忘れ色々と人の世に物思っている時君も立ち止まっていたある日 私は君と出会った知らな...
朝まだき

風と花々父と母がいて満面の子供たちだが淋しいだろういない今はいつかは何も失うだろういないのにでも道は続く見えない道が一人の道が人であれば歩きづらい道がそこに せめてもの風と花々
朝まだき

他人人は折角生まれてきたのに自分ということでなく他人が折角生まれてきたのに邪魔しようとする折角生まれてきたのに豚で無かったのに蛇でなかったのに皆んな なんでもなかったのに
夕照り

神が去っていく日絶対の神と至高の神が争うのかどちらの神が 唯一と言っていたのか神の本心とは人が遠くに行ってしまってもう呼びかけは聞こえないいつからか人が争って踏み越えていくのを見た
朝まだき

裸の山裸の山は優しく楽しいいがぐり頭のようにカッコいいのやら 悪いのやらボコボコ ガタガタ連なってウサギがぴょこんと眺めているよカラスが月見て吠えていた
夕照り

入口いつか人間は煙となり石灰となり元素となって精神の上の汚れを落とし苦しめた心は滴り落ちて風に吹かれ軽快に永遠と交わっていく気ままな気体は分け隔てなく固体の時と交わり宇宙は見分けがつかなくなった
朝まだき

精神性人の心が波立つ唯の波動であるそこに泡が立つように青とも白とも価値があるとも無いとも分からぬ滲み出たその英知はそれは何千万年かけて届いた灯りのように顕れてきたもの歴史の上に立つ一体の精神なのだ
供養

交響楽協働の素晴らしさ乱立のこの世の中でその交響の尽きない流れの中での意志の絡まる僅かな時間目覚めてくる時間いつかは果てて 乱れ行く前兆真ん中に中心が必要でほんの一時の積み木いつも来る 夜の未完の前のあの静寂人として望んで得られない   も...
朝まだき

輪島塗木地師 下地師 上塗り師 研ぎ師 呂色師 蒔絵師己を鉄芯となして大きな破調の中で作品を完成していく工芸の人の世の輝き存在の充溢何千万年の人類の精神の時が姿を顕している