夕照り

魚屋の水槽水槽の中のヒラメ一匹もう筋肉も萎えて涙腺も枯れた目は私を何時までもじっと観ている
夕照り

寒風の蟹茹でられて食われた毛蟹の甲羅は手足の無い体になって意志強く目を剥き出し観ている歯を食いしばった顔とはいへ寒風は甲羅を変色させていった
夕照り

最後人は営々と歴史を作り 文化を作り子々孫々伝わることを望む宇宙は逆らう如く闇夜は頑として乗り越えていく但し失望の一瞬死の一瞬それが唯一の教えでもあり全てを同一にしていく
朝まだき

進化筋肉が生き物の進化を決めた人となっても口をへの字結べばいつか人は飛べない鳥になる
思い出

最期人間に生まれてから少しづつ悲しいことやら 楽しいことが溜まっていきますそして 楽しいことは少しづつ残り悲しいことは沢山残ります積み重さなり 溜まっていって一杯になった時人はことっと死んでいくのだと思われます
夕照り

赤とんぼ赤とんぼはあんな大きな目をして何を警戒しているのかしら今日も いともたやすく捕まった
朝まだき

永遠ふと思う時がある宇宙には大きな意志がありそれが神なのかもしれないが流転する意志なのだその一部が人間になり存在するものがその一部になる部分が自律的に作動しながら全体が一つの力になっていく大きな意志に点火された一部は一部の創造となって全体の...
夕照り

今年の冬アルミニウムの空は高さを半分にしてトンビも低く飛ばざるを得ませんでした雪も例年になく弱弱しくあの猛々しい時代の人間を育てることは不可能になってしまいました
朝まだき

人生どこか遠いところの声を聞こうとしていたような何時かは耳元に囁きかけてくるのかそれをずっーと心が待っているのでそんな人生だけでいつかの輝きのために 又 燕がくるのを待つように日を送るのだったら余りにも私の一生などというのはまぁ なんと頼り...
思い出

川辺の思い出草原の鴨は 親子で喧しい鱒が静かに藻の間を横切るカエルも私と同様物思いに耽っている眼も何故か瞬く時川の涼風はふと過去との時の接点だ泳ぎに夢中になり夕暮れの薄明の中を家へ急いだこと魚釣り針の指に刺して顔の歪んだこと川はいつも あれ...