朝まだき

永遠

ふと思う時がある宇宙には大きな意志がありそれが神なのかもしれないが流転する意志なのだその一部が人間になり存在するものがその一部になる部分が自律的に作動しながら全体が一つの力になっていく大きな意志に点火された一部は一部の創造となって全体の創造...
夕照り

今年の冬

アルミニウムの空は高さを半分にしてトンビも低く飛ばざるを得ませんでした雪も例年になく弱弱しくあの猛々しい時代の人間を育てることは不可能になってしまいました
朝まだき

人生

どこか遠いところの声を聞こうとしていたような何時かは耳元に囁きかけてくるのかそれをずっーと心が待っているのでそんな人生だけでいつかの輝きのために 又 燕がくるのを待つように日を送るのだったら余りにも私の一生などというのはまぁ なんと頼りない...
思い出

川辺の思い出

草原の鴨は 親子で喧しい鱒が静かに藻の間を横切るカエルも私と同様物思いに耽っている眼も何故か瞬く時川の涼風はふと過去との時の接点だ泳ぎに夢中になり夕暮れの薄明の中を家へ急いだこと魚釣り針の指に刺して顔の歪んだこと川はいつも あれやこれやと留...
思い出

月日

この家は昔理容屋だったのが分かります黄ばんだカーテンと少し残る木のガラス窓の白いペンキ昔の賑わいも想像出来ます一時代を終え息子も他所の地に足場を築いたのでしょうか周囲の真新しい家に挟まれてもう栄えることのない家には大事に育てられていた雑草よ...
夕照り

老いたる日

老人よ 朽ちていく木よ年老いたその瞳の内に若かりし頃の記憶が残り 郷愁が残り遠ざかる日々 優しかった者達の顔の思い出が日々の物思いとなり 聞き耳をたてる私はその侘しさの重荷に耐えざるを得なくなることを観念する
供養

死人

死人の額に手を触れる冷たい肌だ物体と違う 不思議な冷たさだ私の熱を吸い取っていく渇望した冷たさなのだ何か思いの残るような静かな 静かな冷たさなのだ
朝まだき

英知

脳みその真ん中に 小さな箱がある箱の中にキリストが見た 仏陀が見た英知と真実と歓喜がある人間すべてに与えられたその箱は人格の大きさによってまれに開かれる時がある
供養

戦後

忘れられた子供たち地理的 歴史的に子供たちは現在を無邪気に遊びたいのに空間に 時間に取り残された多くの子供たち草原にとどまりいつまでも化野には行かないのだ
供養

殺人鬼

一人の人間が優しさの中で生まれ愛の中に育ち慈しみを養った体は知恵を持ち悲しみを感じ喜びが湧き怒りは手を握りしめ楽しみは人並みであった愛は切なかったその中に狂気などというのは無に等しいほどのものであった本人を動かしているのは本人以外のものであ...