夕照り 入口 いつか人間は煙となり石灰となり元素となって精神の上の汚れを落とし苦しめた心は滴り落ちて風に吹かれ軽快に永遠と交わっていく気ままな気体は分け隔てなく固体の時と交わり宇宙は見分けがつかなくなった 2025.02.18 夕照り
夕照り 最後 人は営々と歴史を作り 文化を作り子々孫々伝わることを望む宇宙は逆らう如く闇夜は頑として乗り越えていく但し失望の一瞬死の一瞬それが唯一の教えでもあり全てを同一にしていく 2025.02.08 夕照り
夕照り 今年の冬 アルミニウムの空は高さを半分にしてトンビも低く飛ばざるを得ませんでした雪も例年になく弱弱しくあの猛々しい時代の人間を育てることは不可能になってしまいました 2025.02.02 夕照り
夕照り 老いたる日 老人よ 朽ちていく木よ年老いたその瞳の内に若かりし頃の記憶が残り 郷愁が残り遠ざかる日々 優しかった者達の顔の思い出が日々の物思いとなり 聞き耳をたてる私はその侘しさの重荷に耐えざるを得なくなることを観念する 2025.01.28 夕照り
夕照り きた道 野を駆け 獣を追い病に負けず誹謗に耐え 策略を抜け激しく思いは人を謀り人を嫉み 人を危める絶えることのない祖先の血は尽きない輪廻の果てに私を堆積しているカタコンベを継ぎ 哄笑を明け暮れそれで私とはあまりにも切ないきた道です 2025.01.09 夕照り
夕照り 行く末 私の心も饐え寄る辺なき土地に糧を求め落ちぶれた身は故郷を偲ぶことも出来ない今 人の世の汚泥の中で死に絶えた鳥があの青空を懐かしむように青空の中で 死にたいと思うように私もこの縁の薄い 風景の中で最後を迎え父も 母も 祖先も人類の多くが辿った... 2025.01.05 夕照り