夕照り

夕照り

大きな居場所

お前も生きているのか生きている価値があるのかなどと言われたり 思ったりどうしようというのだそれでも生きていゆかなければそれでも花は咲くそれでも暖かい陽は昇る英知などというものは要らないそこに生きようそこを見つめようそこにも大きな価値はある
夕照り

詫びる

折角生まれてきたのにくねるだけの人生で何の意味があるのか雑草のように生えてきて意味もなく凋んでいく一人が生きるためにどれだけ犠牲にすれば済むのか何と不合理なことどこに合理的で 進化なのだ毛蟹に今日はせめて詫びなければ
夕照り

ヒトデの手

空から有への一瞬は私の始まりであった閉じ込められた運命の存在位置はある生きていく位置か 死んでいく位置かその間の 悪戦苦闘 泥まみれ這い上がれぬ道は 目の前に黒々と四方八方から伸びる手はタコの手やら ヒトデの手やら分からないから戻れぬ道を戻...
夕照り

面倒な世界

きれいな人間なんて本当悪人なんてウソ頭が良くなると何かが無くなるのに馬鹿な人間がいるなんて信じられないウソの必要と 不必要曲がった心なんて 世界がその人だけなら正義の人は 相手があればこそ個体だけ一杯の世界になれば何も問題は無いそんな世界で...
夕照り

正義

普通の日が過ぎていく誰も自分を鍛えていない弱い人間を見捨てない困っている人間に共に歩むそんな強い人が たまにいる口だけ大きいのは いつもいるそんな多くの人の間で口だけ先に進む最後に出来た機能が人間の未来を暗示する
夕照り

我々

くり返し くり返し 人は傷つく過ちは 運命に組み込まれた法則それは 逃れられないいつも陽は昇り 陽は沈む長い夜は本質を変えていく戻れる日は来るのか拡散が最終形でしかないのか
夕照り

神が去っていく日

絶対の神と至高の神が争うのかどちらの神が 唯一と言っていたのか神の本心とは人が遠くに行ってしまってもう呼びかけは聞こえないいつからか人が争って踏み越えていくのを見た
夕照り

入口

いつか人間は煙となり石灰となり元素となって精神の上の汚れを落とし苦しめた心は滴り落ちて風に吹かれ軽快に永遠と交わっていく気ままな気体は分け隔てなく固体の時と交わり宇宙は見分けがつかなくなった
夕照り

魚屋の水槽

水槽の中のヒラメ一匹もう筋肉も萎えて涙腺も枯れた目は私を何時までもじっと観ている
夕照り

寒風の蟹

茹でられて食われた毛蟹の甲羅は手足の無い体になって意志強く目を剥き出し観ている歯を食いしばった顔とはいへ寒風は甲羅を変色させていった