夕照り

夕照り

段々しぼむ

哀しみあり 貶めあり少しの幸福あり段々しぼんでいく私たちは最後まで いつまでもそのままなのか右足を痛めた筋肉は段々しぼんでいくつまらない事を考えている脳は段々しぼんでいく
夕照り

恥

イスラエル人は恥じなければ良い日本人は 他人に対して恥じなければ良い恥は無くならない恥じるために生まれてきた人間捨てても 捨てても生えてくる公園に 曲がり角にだから 角を曲がる時には後ろを振り向いてはいけない何も 考えてはいけない
夕照り

人間

どっぷりと人間は運命とか幸福とか病気とか宇宙線とか狂気線とか蛇行電波やら木の精 時の粉とかにギッシリ詰まった中を恐々と上も下も無い中を木の根のように吸い付かれて超重力知った時圧殺されてしまうただのゴミだった
夕照り

心の闇

人は悪いほうへ悪いほうへとウワサする人の苦しみを知りたいからなんにもならない人の苦悩を他人事としてあざけり笑っているそんな人間になりたいとは思っていないがなってしまう人間の心の八割誰も教えないのに人の心の闇
夕照り

トンボ

トンボよもう人生を終るのか道端の風に吹かれて良いことはあったかい美味しいものは食べたかい一人で生まれて一人で去っていく私も大した変わることはないせめて君とは兄弟に違いない
夕照り

病んだ自然

夜中の三時自宅の脇に流れる川に沿って瞳を反射させ空腹の熊が行く二足歩行の兄殺しに恐怖と殺意を持ってしまった自然は広がらないから生活圏は力の支配となって今日も戦いに望んでいく
夕照り

寒風の蟹

茹でられて食われた毛蟹の甲羅は手足も無い体になって意志強く 目を剥き出し歯を食いしばって 視ている
夕照り

子供

子供は老人の命で限りある人間の宿命は子供に愛情をそそがせた人は寿命が延びそして不老不死になる時子供は老人の何になるのだろう懐かしさは 愛おしさは残っていないとしたら地球は重力を諦め人はやっと手を繋ぎ始める
夕照り

馬

人を乗せて走るのに最適の形だった馬たちは人が馬を必要としなくなった時その美しい形は悲しみを帯びてきた帰るべき自然もなく人の感情に その歴史が預けられたときに神は その不合理を淋しく 眺めていた
夕照り

柴犬 留

年老いた柴犬留は歳老いた 源助爺さんを引いてゆく曇天の梅雨の日留は老いて湾曲した四肢を地に踏ん張り二人して国盗りをした訳でもあるまいに誇らしげに源助爺を引っ張っていく引っ張っていく先にささやかなお裾分けが待っている