夕照り

夕照り

今年の冬アルミニウムの空は高さを半分にしてトンビも低く飛ばざるを得ませんでした雪も例年になく弱弱しくあの猛々しい時代の人間を育てることは不可能になってしまいました
夕照り

老いたる日老人よ 朽ちていく木よ年老いたその瞳の内に若かりし頃の記憶が残り 郷愁が残り遠ざかる日々 優しかった者達の顔の思い出が日々の物思いとなり 聞き耳をたてる私はその侘しさの重荷に耐えざるを得なくなることを観念する
夕照り

最期空が白くなり始め音が消える世界は時間が伸びて猫の威嚇の声牛の哀訴私は最期の時間に落ちていった
夕照り

きた道野を駆け 獣を追い病に負けず誹謗に耐え 策略を抜け激しく思いは人を謀り人を嫉み 人を危める絶えることのない祖先の血は尽きない輪廻の果てに私を堆積しているカタコンベを継ぎ 哄笑を明け暮れそれで私とはあまりにも切ないきた道です
夕照り

行く末私の心も饐え寄る辺なき土地に糧を求め落ちぶれた身は故郷を偲ぶことも出来ない今 人の世の汚泥の中で死に絶えた鳥があの青空を懐かしむように青空の中で 死にたいと思うように私もこの縁の薄い 風景の中で最後を迎え父も 母も 祖先も人類の多くが...
夕照り

次郎豚粗食に甘んじ 好みを選ばずきれい好きなのに 住いの泥土を諦め邪魔な毛もわずかに柔らかい肉は与えるために用意されました往く宛ても無ければ 脚力の無いこの足で十分です歌うことも 叫ぶことも苦手な私はわずかに濁った呼吸があるだけです。おかし...
夕照り

故郷生まれ落ちて 生きてきた大きな人々の苦い口腔が待っていた抗う術もなく落ちていく私に優しく投げかけてくる微光が苦根の中で光り出そうとしていたのに誠実をあざけていた魂は戻る道を失ってさ迷っている安住は与えられていない雪の中に取り残された心を...
夕照り

運命あなたの光を求めて待つことは もう諦めました期待することは罪なのでしょうか理念 理念 雑念人間とはどれ位の位置にいるのでしょうか幸せに値するのでしょうか私だけが後れているのか宇宙創造からたどり着いた私の形とても とても栄光の道とは思えな...
夕照り

思考的人間つるんつるんの卵のような頭になった人間はくしゃみも出来ずに頭脳は内面だけになって考えていた外の気配はわずかにするのだが何か暗そうな日々が過ぎてるようだ望めばいつか太陽をのぞけるかもしれないがのっぺらぼうになって唯 思考内の中で生き...
夕照り

民主主義技術も知識も持った人が人間の力を超えて働いている何故か手は泥をまとい人々の底辺で身の限りを尽くすつまらない淋しい人間は ただ 人の上に立つことを目指し口腔だけで身を飾るそういう世界の無意味さに気付いているので果てない世界に溶け込んで...