夕照り

民主主義

技術も知識も持った人が人間の力を超えて働いている何故か手は泥をまとい人々の底辺で身の限りを尽くすつまらない淋しい人間は ただ 人の上に立つことを目指し口腔だけで身を飾るそういう世界の無意味さに気付いているので果てない世界に溶け込んでいく必要...
夕照り

立派な者たち

あなた と わたしものの初め ただそれだけだったのに立派な導きの立派なお堂でなくやさしい教えの粗末な佇まいで良かったのに立派な御殿になった時立派だけのものになってしまった時その時の人の世の限界出て行け見かけだけのものになってしまったもの達よ
供養

有り難う

皆んな笑っている写真の中で笑っているもう 誰もいないのに 影だけになってしまう日がくるのに私を見つめているいつまでも話し合えると思っていたのに毎日 私から離れていく私も彼等を置いていくしかない何時までも有り難うとささやいている
思い出

忘れ物(始発駅にて)

私は今帰郷するそばで親子の別離を眺める君達の父は母は 田舎の無骨な人のようだ当てずっぼうな会話も交わされ方言交じりで語られている偉ぶることのない表情の彼等から競い合う原理の道を選んだ子等にまずは頑張れ 困ったことがあったら直ぐ電話をよこせと...
夕照り

棒になった人(ジャコメッティ)

人間の本質が立っている泣けない人が立っているうしろの無い人間あの人は一歩前に進んだらもう二度と帰ってくることはないのだ
思い出

地球

彼等 花やかな者達は蝶々に生まれてきた君たち 恐ろし気な者は トンボに生まれてきた 慎ましやか者たちは ミミズに騒がしい君はウンカだ僕は蛾だった彼等は善人だ僕は悪人だ唯 皆んな生きてきた食ったり 食われたり皆んな死んでいくんだよそして 宇宙...
夕照り

遺伝

私の耳に今日も心のかなたから絶え間なく響く叫びが届いてくる荒々しく すんでいる私の祖先もその中で生き私の子供たちも包まれていく私はその中で育ちそして 一個の感性になっていく
夕照り

人の世

私は一人の大きな悪人でした多くの小悪人の間で温温とした小悪人の間で大悪人は石に座し小悪人は山上に立つ雲霞の中から今日もきびしく大悪人を捜していく
朝まだき

猫にも悲しい日はくるのだろうか静かな顔で変わらぬ食事をして良い日が来るのか来ないのか何故か細眼の猫はいない大きな眼を見開いて斜に構えることもなく定めの中で生きていく宿命に恐れず今日も満たされずに家々の角を忍びやかに伺っていく
朝まだき

自然

果て無き宇宙 芥の人の身何ものをも超える思考無限の涯を見ている運命の果ての一輪のアザミの花満月の裏寒い月光の中宇宙と一体に命を輝かす風にリズムをとりカエルの声と同調し霧の繁みに情熱を灯す一草も生きている一草も伸びようとしている