夢の故郷

秋の晴れた日
私の街にふらりと現れたのは
キルギスの商人でした
見るからに異国の装いなのに
違和感が無かったのは
余りにも上手く日本語を話すので
誰もが親しみを覚えるからでした
しかし 彼は五歳から異国を巡る
れっきとした商人でした
一番最初に旅に出た時は
祖父母も 父母も一緒だったそうですが
一人死に 二人死にして
今では彼と荷を積んだトラックだけになってしまいました
彼は異国語をすぐに覚えてしまう才能があるために
何処に行ってもすぐ
打ち解けててしまい
今まで格別困ることも無く 旅を続けていました
そんな人が行き交う
故郷になって欲しかったのです