供養

人と共に

私は歌おう 人間の懐かしき過去と美しき楽しき未来を未来は悲しく辛くとも楽しき未来を歌おう人間は等しく淋しく一人の階段を 昇っていくのだから
供養

車に轢かれた野ウサギ

魂は峠を駆けていたのに足はまだ走っているもう目は必要もないのに開けておくことがこの世に引き留める最期のものだと判っているのか体はねじれ 内臓は破裂し九穴からは血が噴き出しているのに大きくカッと見開いてもう見ることのない空をもう味あうことのな...
夕照り

柴犬 留

年老いた柴犬留は歳老いた 源助爺さんを引いてゆく曇天の梅雨の日留は老いて湾曲した四肢を地に踏ん張り二人して国盗りをした訳でもあるまいに誇らしげに源助爺を引っ張っていく引っ張っていく先にささやかなお裾分けが待っている
思い出

晴れた日

呑気の売り子さんが私を見ているじ~と見ている私もつられてじ~と見つめ合うそして 二人共 笑った
夕照り

蟻のラモン

蟻のラモンは元気だいつも大地を見詰めてばかりでまだ 空を見たこともない彼に空はいらない踏みしめる土さえあれば遠くを望んでも仕方ない恐ろしい者ばかりだ仲間と一生懸命働く明日はないかもしれない人は笑うだろうしかし どうしろと言うのだ私は 私の一...
朝まだき

エーテル

夜のエーテルが人々の間に物と物との間にギッシリと包み込むそして人々を 物と物とをびっしりと大地にへばりつけてしまう宇宙の神々しい緊張のある山奥の村は子供たちをキラキラにして世に送り出していった
朝まだき

雨の記憶

雨が降っていますあの時と同じように少し濡れた頭を白いハンカチで拭いてくれたあの思い出を甦らして古い古い記憶の中からも雨が降ってきます
朝まだき

音楽

そう 宇宙は音楽に包まれて流れていけばそれで 良いのじゃないだろうかそう その中に包まれて私などが何処かへ去っても宇宙の均衡は音楽に包まれている私には そのように見えている
夕照り

いつも一人

夜の国の人は星の輝きに安らぎを覚え雪の国の人ははるかな雪面の向こうにいつも思いを馳せていたとて夢見る心はいつも一人の私なのだ若い時は心は先まで飛んで行った今は立ち去った人の影を見ている
朝まだき

音が世界を充たしていた音は時と同意語今まであった無数の音を聞きたいと思った音は私を責めない音は悲しみ自分だけでは存在足りえないのに世界の厚みはその何もない音によって成り立っていく