夕照り

夕照り

淋しい時

一人でいるときは良い人だったのに人間に交わると悪心が芽生えてくる今日も ムラムラ 湧いてくる私の悪の芽生え宇宙の悪が感応する聞こえる 聞こえる私を呼ぶ悪寒の源泉堕ちていく 堕ちていく脳の中の宇宙の最深部へサヨウナラ そして コンニチハ
夕照り

何もない人のために神はいる何も頼れなかった人のために神はやってきたはるか遠くから現れた時に去ってしまう時もあるのだろう淋しく人は残される時もあるのだろう
夕照り

我も罪人

罪人は救われないのか罪人故に知ることもある罪人にしかなれなかった人もいるこれも自然界の掟か太陽は昇るように太陽は沈むように全ての人に陽が射すように全ての人に雨が滴るように
夕照り

日々

ある小さな町の あまたの人々が大きな おおきな 流れの中肉体を作る細胞のように意識されない存在となって顧みられることもなく 険相を繰り返しながらもしもの自分を捜しているこの大きな宇宙がただ それだけで静まりかえるのなら私は今日も 風に戯れて...
夕照り

喪失

私はあまりにも多くを失ってしまったようだ今 生の断末魔を聞く蒼白の暗夜に弦月の鋭さ狭小なる内部空間には飛鳥も清花も棲む能わず貧しき肉塊を携えてこの世の生を噛みしめん
夕照り

淋しい川

わたしにはいつからか心の中に渡れぬ川がながれている故郷の深き山より流れきて見えない世の末に消えていく人の世の歩みの全てをのみこむ川であるいつも 私の中に流れている淋しい川である
夕照り

赤トンボ

なべて この世は一期の終わりに 手向けの一輪だになく秋のうららに赤トンボは なに選ぶことなく温もりに寄るいざや、辺々に出生の思い出も無きや死所の人家の廊下なる 厠の庇なる屋根の端なるいまや一人立ちて 生に全うなるか
夕照り

祈り

冬の日本海はためく波頭のかなた水平線はお祭りのよう人の頭が動めいているあの亡き人達もいるのだろうか遊びに行ってみたいけれど知っている人はダーレもいないからこの岸辺で眺めていよう私の足から波が砂を削る招いてくれるのはこの波だけかしらオイデー ...