車に轢かれた野ウサギ

魂は峠を駆けていたのに
足はまだ走っている
もう目は必要もないのに
開けておくことが
この世に引き留める
最期のものだと判っているのか
体はねじれ 内臓は破裂し
九穴からは血が噴き出しているのに
大きくカッと見開いて
もう見ることのない空を
もう味あうことのない雨を
見詰めていても
もう家には帰れないのだよ