夕照り

夕照り

人生

人は一つの生を渡り多くの夢で生きていく喜びも悲しみも 織り交ぜて流れ流れて 帰っていくそして後には自分自身だけの優しい物語を残して
夕照り

地球号

緑の地球号は幾多の喜び悲しみを乗せながらその軌道を幾億年と微動だにせず へ巡っていく微動だにせず 落ちていく
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取り残された少女

冬が寒く暗い夜空には皆既月食になる月がくすむでる日家々も戸の鍵を下ろした時刻なのに雪道に少女が一人青いシルエットを落としている何一つ生命を感じさせない田舎の夜に少女は取り残されて人類の最後をそこに見てしまった
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冬の蜂

冬の蜂は羽根を忘れ仲間の虫も去り人間にか細い生を晒す進も止まるもすでに寄る辺無ければ何ほどの生だったのか我もかくのごとし又 多くもかくの如し
夕照り

無常

この夜中に空しい嘆きに時を費やすバカがいる食われるためにだけ生きてきた者がいるこんなに弱い者達が生存している進化論はおかしい
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青いトンボ

心の暗い暗い平原を青いトンボが私を囲んで鋭い口が語り掛ける亡き母が おばさんが負けるな立ちなさいと言っているのだ私に与えられた最後の恩寵なのです
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ハチの臨終

宇宙のこんな素晴らしい形に完成しながら今 息絶えました一グラムの魂がふうと抜け広大無辺に交わろうとしています私のミニ宇宙の中でもそんな力が右往左往しているのが分かります私も唯のそんな力なのでしょうが
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道は開けない

人の世はママゴトゴッコのように過ぎていくあまり生産的でない世の中に人は右往左往して真剣そうに生きる優しさの前に権力志向それが上になり進化は進まない本当に必要な人は謙虚になり悲しい人に道は開かれない熊が一生懸命子孫のために危険を冒している
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すぐさまにも

いつ頃からかすぐさまにも悲しみは蔑みにされ弱者は弱者に固定しようとした人の悲しみの小ささ人のうぬぼれの大きさそんな歴史が回ったってそんな人は消えていけば良い地球の重みの中身は澄んだ風と清流であって欲しい残って欲しいのは軽やかな空気だ
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悪とは

植物に悪いものはいるのだろうか自分で雑草を阻むもの絡み付き絞め殺すもの動く虫を滑らして吸い取るものライオンはいつも動くエサに食いつく蚊は血をもらいながら寄生虫を返す自分のためなら 自分のために人と似たようなことをしているもう 引き返せない