あの時

私はふと 地上に生まれ落ちた
二本の足を与えられ
前後に進むことしか仕方ない者として
いつまでも一人で生きていく
分けられた英知は少なく
人に与えられもせず
塵芥をまき散らすだけの身は
樹体の限りの葉に満ちて
黄金の魂と飾りを散らすイチョウを眺め
いつもいつも 立ち尽くしてしまう